適正体重を目安に!「健康」を大切にしたダイエットのやり方
更新日: 2018年11月02日

管理栄養士の鈴木です。今回は適正体重とダイエットの関係についてご紹介いたします。
皆さんの理想の体重は何kgですか?
多くの人にとって、理想体重と適正体重は違うようです。
適正体重は健康の目安となり、ダイエットの指標とは異なります。適正体重を考慮した、健康的なダイエットのやり方をご紹介します。
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適正体重とは?
適正体重の求め方
適正体重とは、健康であるために適した体重です。その数値は、BMIの計算式を用いて算出することができます。
BMIとはボディマス指数の略で、身長と体重を計算式に当てはめて出した数値のことです。数値の大きさにより、やせ、普通、肥満の体型に分けることができます。この数値は成人であれば、妊婦を除いて男女問わず同じ判定となります。
具体的なBMIの計算方法は、以下のようになります。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMIは世界的に使用されており、世界保健機関でも基準が設けられています。日本では日本肥満学会が提示している指標を主に使用しています。
やせ型 ~18.4
普通 18.5~24.9
肥満 25.0~
さて適正体重ですが、BMIの、とくに病気になりにくいとされる数値から算出した体重を指します。その数値が22です。
自分の身長から適正体重を出す計算式は、以下のようになります。
適正体重=身長(m)×身長(m)×22
さて、計算してみましたか?
おそらく多くの方が「これは思っているより太めだな」と感じたのではないでしょうか?特にダイエットを頑張ろうと考えている女性には、驚く数字かもしれません。
では、一般的に女性が理想とする体重は、BMI指数でみるとどのくらいになるのでしょうか?
多くの人が理想とする「○○体重」とは?
芸能人やファッションモデルなど、さっそうと洋服を着こなす女性は細身の人が多いです。それにあこがれているためか、「やせ体型」を目指してダイエットにはげむ若い女性がたくさんいます。モデルのように「やせ型」の人のBIMは、17以下とされます。
モデルや芸能人ほど細くはないけれど、一般的に「スタイルが良い」とされる人のBMIはおよそ20で、「美容体重」とも呼ばれます。
胸もあり、女性らしい体型になりやすいのですが、「モデル体重」を目指している人には太目と感じるかもしれません。
やせ体型と肥満体型の体への弊害
BMIの数値が17以下である「モデル体重」。ダイエットの目標とされがちですが、一方で健康に弊害が及ぶ心配もあります。日本肥満学会でBIMが18.5以上を「普通体重」としているのもこのためです。
「モデル体重」であるBMIの値が17以下の人は、食べる量が極端に少ない場合が多いです。
そのためまず起きやすい健康障害が、貧血や生理不順とされます。原因は単純で、血液のもとになるたんぱく質や鉄の摂取量が不足するからです。
たんぱく質は筋肉の原料にもなるため、筋肉も不足することから代謝が悪くなり、冷え性や低血圧などの症状も現れます。また、骨粗鬆症や腰痛、ひどくなると生理が止まる、不妊症になるなどの恐れも。
いくら理想の体重に近づいても、体が元気でなければ本末転倒です。
モデル体重とは逆に、BMIの数値が25を超える「肥満体型」の人も、病気になる可能性が高まります。肥満が原因となる病気は、生活習慣病に代表される多くの病疾患です。
適正体重と筋肉と脂肪の関係
健康的なダイエットをするためには、ダイエットの目的をただ「やせたい」ではなく「引き締めたい」に置き換える必要があります。まずは筋肉と脂肪の関係を知っておきましょう。
適正体重で見た目をすっきり見せるには、筋肉を増やして脂肪を減らすことが必要です。
こう書くと、一見、筋肉と脂肪を交換するだけで体重も見た目も変わらないように感じますが、実は筋肉と脂肪は、容積と重量の比率が違うのです。
例えば同じ重量の筋肉と脂肪があるとします。肉の赤身と脂身を想像してください。同じ重量ですが、実は大きさが違います。大きさはおよそ、筋肉が0.8に対して脂肪が1となるのです。
このため、健康的な体重を維持しながらスリムになるには脂肪を減らして筋肉を増やす必要があります。しかし、脂肪を筋肉に変えることはできません。
植物油などを摂取して運動量が足りなければ皮下脂肪や中性脂肪が増えます。
またたんぱく質などを摂取して運動すれば、筋肉が増えます。
このように脂肪とタンパク質では、つきかたが違うのです。
脂肪は筋肉に変化しません。脂肪を減らす、また筋肉をつける食事や運動をそれぞれ行うことが大切です。
次に具体的な方法をご紹介します。
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適正体重を目安にした食事と運動のやり方
脂肪をためない食事
スリムな体を目指すには、脂肪を溜めやすい食品を避けるよう心がけます。
脂肪を溜めやすい食品は、「脂」や「油」です。
「脂」は動物性食品に含まれる、常温で固体の形をしたあぶらです。中でも肉の脂を摂りすぎると、中性脂肪や悪玉コレステロールが増えやすくなります。
肉の脂だけではなく、乳脂肪(牛乳に含まれる脂肪成分)でも増えやすいので、食べ過ぎには注意しましょう。
肉は脂身の無い部位を選ぶ、乳製品は牛乳などを1日コップ1~2杯程度にしてください。
「油」は常温で液体状の、主に植物性のあぶらです。
油は動物性の脂よりヘルシーな印象ですが、エネルギーは高いです。
例えば、オリーブオイル。「オリーブオイルを食べると痩せやすくなる」と聞いたことはありませんか?
確かに脂肪燃焼効果がオリーブオイルにはありますが、エネルギーは他の植物油と変わりません。
植物油のエネルギーは大さじ(テーブルスプーン)1杯で約110kcal。バナナ1本が約85kcalなので、「ダイエット」と思って摂りすぎると逆に太ってしまいます。
油は適量を摂取することが大切です。
肉の脂身はなるべく控える、乳製品は適量摂取、植物脂も使用量を1日大さじ1杯(揚げ物なども含めて)までにするなど、過剰摂取に注意しましょう。
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筋肉をつけやすくなるための食事
体を引き締めるために、筋肉をつける食品を摂取しましょう。
筋肉をつけるためには、たんぱく質、糖質、ビタミンB群が必要です。
まずたんぱく質ですが、魚と大豆製品を中心に、肉類、卵などから摂取します。
魚はEPAが豊富な青背の魚がおすすめ。EPAは中性脂肪を下げる効果があるとされます。また脂肪の代謝に関与して、脂肪が燃えやすい体質に変えてくれます。
大豆製品は植物性のたんぱく質です。たんぱく質食品であると同時に、食物繊維も豊富なため、腸の環境を整えて便秘を予防してくれます。さらに食物繊維の作用で、腸での糖質吸収を緩やかにし、余った糖質で作られる脂肪の生成を予防してくれるのです。
筋肉をつけるためには運動をする必要がありますが、その時に大切なのが糖質です。糖質は車で言うガソリンの働きをします。もし糖質が不足すれば、筋肉や脂肪がエネルギーとして使用されます。脂肪が減るのはうれしいですが、筋肉まで分解されてしまっては何のための運動かわからなくなりますね。
糖質は活動する前には必ず食べるようにしましょう。逆に夜など眠る前にたくさん食べると、エネルギーとして使用されない糖質は体の中で脂肪になってしまいます。
糖質を多く含む食品はごはんやパン、麺など、主食となる食品です。目安は、1食の半分くらいの量を主食とすることをおすすめします。
ビタミンB群はたんぱく質や糖質の代謝を活発にする働きをします。代謝が良くなれば筋肉がつき、脂肪が燃えてやせやすい体になります。
ビタミンB群は実に様々な食品に含まれています。肉、魚、野菜、ナッツなどなど。偏った食事、例えばパンや麺など単品で済ませたりせず、いろいろな食品を食べるよう心がけてください。
脂肪燃焼と筋肉をつけるための運動
脂肪燃焼と筋肉をつけるためにはやはり運動が必須です。
運動には3つの種類があります。ウォーキングなどの有酸素運動、筋肉トレーニング、ストレッチで、どれも大切な運動です。
運動の習慣がない場合はまず歩くこと、またはラジオ体操など簡単な運動から始めることをおすすめします。
大股で歩いたり、背筋を伸ばして体操をしたりすると消費熱量も上がります。
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慣れてきたらスポーツセンターなどで機器を利用して汗を流したり、ヨガサークルなどに通うのもおすすめです。
食べて動く。これをしっかり意識してください。
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まとめ
ただ体重を落とすだけがダイエットではありません。健康でキレイになるためには適正体重を目安にしつつ、食べ方や運動で体を締めることが大切です。
脂肪を減らすには、油脂類の摂取を控えるようにします。肉の脂身や乳製品、植物性のオイルなど、適量を摂るように心がけてください。
筋肉をつけるには、たんぱく質、糖質をバランスよく食べます。それぞれの代謝を上げるにはビタミンB群が必要です。偏らず、たくさんの食品を食べてください。
摂取した栄養を効率よく使用しながら体を引き締めるのが運動です。有酸素運動、筋肉トレーニング、ストレッチを、日常生活に取り入れてください。
適正体重を目安に、健康的に体を引き締めていきましょう。