なぜ痩せる?水溶性食物繊維のダイエット効果と理想の摂り方【多く含む食品も紹介】
投稿日: 2018年11月06日
管理栄養士の鈴木です。今回は水溶性食物繊維を食事に取り入れたダイエット方法をご紹介します。
腸をきれいに掃除してスッキリとしたお腹にしてくれる水溶性食物繊維。摂取することでダイエットにどのような効果があるのでしょうか?
水溶性食物繊維がダイエットに効果的な理由から、豊富に含むおすすめの食品やダイエットを成功させるための食べ方を詳しくご説明します。
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水溶性食物繊維の働きとダイエット効果
水溶性食物繊維とは炭水化物の1成分
水溶性食物繊維は、三大栄養素の一つである炭水化物に含まれます。
炭水化物と聞くと「太りやすい栄養素」と感じてしまうかもしれません。最近では「低炭水化物ダイエット」や、炭水化物に含まれる糖質を制限した「糖質制限ダイエット」なども話題ですね。
炭水化物は糖質と食物繊維、二つの栄養素からできています。
糖質はエネルギーとして使われやすく、動くために欠かせない栄養素です。そのため消化吸収しやすく食べ過ぎると太ってしまいます。
一方で食物繊維は消化されにくいため栄養になりません。そのため昔は「食べ物のカス」と呼ばれていました。ところが現在、食物繊維は腸を元気にするために欠かせない栄養素として認知され、「第6の栄養素」とも呼ばれています。
さらに食物繊維は2種類に分けることができます。それが水に溶けやすい水溶性食物繊維と、溶けにくい不溶性食物繊維なのです。
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水溶性食物繊維のダイエット効果
水溶性食物繊維は、胃腸で食べ物と一緒になって水分を含んでネバネバになります。ゼリー状と表現されることが多いですが、プルンというよりはむしろ粘性をもっています。ネバネバしているので腸の中の移動がゆっくりです。ゆっくり移動しながら老廃物や毒素をくっつけて包み込み、最後は便として出ていきます。デトックス効果もあり、便秘を解消してくれます。
また胃で水分を含んだ水溶性食物繊維は大きく膨らみます。食べ過ぎる前に満腹感を与えてくれるので、食べ過ぎ防止が期待できます。
水を含んで粘性を持った食物繊維は胃腸をゆっくり進みます。そのため水溶性食物繊維に絡んでいる食品の栄養も、ゆっくり胃腸に吸収されます。吸収がゆっくりであれば腹持ちが良く、余計な間食などを控えることができるのです。
さらに水溶性食物繊維は仲間である糖質の吸収も緩やかにします。すると血糖値の上昇も緩やかになり、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の放出も少なくて済みます。インスリンは脂肪の合成を促進させる働きもするため、水溶性食物繊維は太りにくい食べ方に欠かせない栄養素なのです。
もうひとつ忘れてはいけないのが、善玉菌の働きです。腸の中にいる善玉菌は、食べ過ぎをおさえる効果を持つ「短鎖脂肪酸」を作ってくれます。またインスリンに脂肪を溜めないよう働きかけてくれます。
その他、便秘解消、肌荒れ改善、免疫向上など、善玉菌は美しくダイエットするためにぜひ味方につけたい存在です。
その善玉菌を元気にするエサが、水溶性食物繊維なのです。
不溶性食物繊維も大切
不溶性食物繊維はザラザラした感じで、形状的に歯ごたえがあります。噛むことで満腹感を得て、食べ過ぎを予防することができます。
体内では腸の壁にぶつかりながら進むため、内側から刺激をして腸の運動を促します。腸の動きが良くなるので便秘の人におすすめです。
また不溶性食物繊維は水に溶けませんが、水を吸収し、膨らんで便の量を増やします。この働きも便秘改善に効果があります。
便秘を解消することでポッコリお腹を改善するお手伝いをしてくれますよ。
どちらの食物繊維もダイエットと腸の健康に欠かせない存在です。
水溶性食物繊維を食事に取り入れよう
水溶性食物繊維を多く含む食品
水溶性食物繊維は、植物性食品に含まれています。
海藻、野菜、イモ類、キノコ類、こんにゃく、豆類、果物などです。
どんな食品が水溶性食物繊維を多く含むかを知るには「日本食品標準成分表」で確認できます。
成分表には食品100gあたりの水溶性食物繊維の含有量が載っていますので、下記に食べる量を考慮して、多く含む食品をピックアップしてみました。
- ごぼう:2.7グラム
- 納豆:2.3グラム
- なめこ:1.1グラム
- にんじん:1.0グラム
- さつまいも:1.0グラム
- かぼちゃ:0.9グラム
- 茹で大豆:0.9グラム
- キウイ:0.7グラム
- もも:0.7グラム
- いちご:0.5グラム
※上記は全て100グラム当たりの含有量
身近な食材にもたくさんの水溶性食物繊維が含まれていることがわかりますよね。
ひとつ残念なのが、海藻類の水溶性食物繊維の含有量が日本食品標準成分表に記載されておらず、食物繊維のみの記載であることです。しかし、海藻類にはたくさんの水溶性食物繊維が含まれているのは広く知られています。
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つぎにこれらの食品をどのように食べたらいいのか、ご紹介します。
水溶性食物繊維の効果的な摂り方
水溶性食物繊維の効果的な摂り方は、たくさんの種類を食べることです。実は食物繊維にはたくさんの種類があります。
たくさんの種類と聞くと「大変そう」と感じるかもしれませんが、大丈夫です。たくさんの種類は、1週間の間で調整すればOKです。
水溶性食物繊維には、ペクチン、アルギン酸、βグルカゴン、マンナンなどたくさんあります。それぞれに働きがあるので、同じ食品を食べるのではなく、例えば毎日味噌汁を食べている人なら具を変えてください。今日はワカメ、明日はキノコ、次はこんにゃくやゴボウ、といった具合に色々食べることが大切です。
水溶性食物繊維の主な種類と働きをまとめました。
種類 | 多く含む食品 | 体での働き |
---|---|---|
ペクチン | 野菜 果物 | 腹持ちが良くなる 血糖値の急上昇を防ぐ |
アルギン酸 | 海藻 | 塩分の排泄を促す (むくみの予防と改善) |
βグルカゴン | 大麦 キノコ類 | 満腹感を感じやすい 血糖値の急上昇をおさえる |
グルコマンナン | こんにゃく | 満腹感を感じやすい 便秘解消 |
色々な水溶性食物繊維を食べてほしい理由は、体内でのそれぞれの働きが微妙に違っているからです。
さらにもう一つ理由があります。それは大腸の善玉菌の働きが活発になるからです。
善玉菌にもいろいろな種類があり、それぞれにエサの好みがあります。善玉菌のえさは水溶性食物繊維ですから、たくさんの種類の水溶性食物繊維を食べるとたくさんの種類の善玉菌を元気にすることができるのです。
では次に、どのくらいの水溶性食物繊維を食べたらいいのかをお伝えします。
水溶性食物繊維をどのくらい食べたらいいの?
水溶性食物繊維の摂取基準は、はっきりと定められていません。しかし「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)で、食物繊維の摂取基準は成人男性で20グラム以上、成人女性で18グラム以上と設定されています。
またある実験で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は1:2の割合で食べるといいとされています。これらを考慮すると、水溶性食物繊維の暫定摂取基準は6~7g程度と考えられます。
しかし、毎日の生活でこれらの数値を気にして食べることは難しいです。そこで、目安として手ばかりを覚えてください。
手ばかりは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の適量を摂るための方法です。毎食、野菜を中心に、キノコ、海藻、こんにゃくを、生なら両手に一杯、火を通したものならカサが減るので片手一杯食べます。
朝食に食べた野菜の量が少なければ、昼に野菜料理を1品足します。海藻は必ず汁に加える習慣をつけると食べやすいですね。
食物繊維の摂取量が減ると、まず便秘になりやすいです。放置するとそこから恐ろしい病気にもなりかねません。ダイエットしながら体の健康を保つため、しっかり食べてくださいね。
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水溶性食物繊維を摂りすぎるとどうなるの?
水溶性食物繊維を摂りすぎると下痢の症状を起こします。また下痢と一緒に体に必要なミネラル(カルシウムやカリウムなど)を排泄するので注意が必要です。
しかし、大きな心配は必要ありません。現代の日本人は、食物繊維の不足の方が心配されていますし、普通に食べていたらまず摂りすぎることはありません。
過剰摂取が心配されるのは、サプリメントなどで摂取する場合です。サプリメントを服用する場合は、注意書きにある使用法を守って摂取するよう、またサプリメントは補助食品として頼りすぎないようにしてくださいね。
まとめ
水溶性食物繊維を含む食品を、食事に積極的に取り入れるだけで、様々なダイエット効果が期待できます。
満腹や腹持ちの良さを感じて食べ過ぎを防ぐことができ、血糖値の急激な上昇を予防することができます。また大腸の善玉菌を元気にすることで、食べ過ぎ予防や美肌改善効果など、美しくダイエットをする助けをしてくれます。
水溶性食物繊維を多く含む食品は、海藻、野菜、イモ類、キノコ類、こんにゃく、豆類、果物などです。
このうち野菜を中心に、海藻、キノコ、こんにゃくを毎食食べることで、日本人に不足している食物繊維の基準値を摂ることができ、ダイエット効果も期待できます。
習慣的に摂取できれば、お腹の中も外もきれいになります。積極的に食卓に並べてくださいね。