ダイエットの大敵!管理栄養士が教える便秘の原因と解決法
更新日: 2018年11月03日
管理栄養士の片村です。今回はダイエットと便秘の関係についてお伝えしていきます。
多くの人が悩んでいる便秘は、食生活と深く関わっており、便秘が続くと体調不良や肌荒れの原因にもなります。
この記事では、ダイエット中に便秘になりやすい理由や、便秘を解消するための生活のポイントについて説明していきたいと思います。
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便秘とは?
便秘の定義
便秘は「毎日排便がない状態」だと思い込みがちですが、実はそうではありません。
2~3日に1回しか排便がなくても、自分が苦痛でなければ便秘とは言わず、反対に毎日排便があっても、便が硬い・少ない・残っている感じがある場合は、便秘ということができます。
基本的には、便の水分が少なくなり、便が硬い状態のことを便秘といいます。
また、腸管が狭くなることによって、排便が難しくなる、頻度が少なくなる状態のことも便秘といわれます。
便秘の種類
便秘は大きく2種類に分けられ、腸管機能の異常による機能性便秘と、腸管の疾病による器質性便秘があります。
さらに、機能性便秘は弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘の3つに分けられます。
普段から便秘に悩む日本人の2/3は、弛緩性便秘だと言われています。
弛緩性便秘とは
弛緩性便秘は、腸のぜん動運動が低下することにより起こります。
大腸内を便が通るのに要する時間が長くなり、水分が多く吸収され、便が硬くなってしまうことが原因です。
高齢者や寝たきりで過ごすことが多い人に多く見られる便秘で、ダイエットをしている人がなりやすいのも弛緩性便秘です。
痙攣性便秘とは
痙攣性便秘は、自律神経失調が原因となり、大腸において便が上手に運ばれない状態となり、排便に腹痛を伴います。
精神的な影響を受けやすく、自律神経失調症を伴う場合が多く見られます。
直腸性便秘とは
直腸性便秘は、便意を我慢することによって起こりやすくなります。
特に女性は、環境によって、便意を我慢してしまうことが多く、この習慣が直腸性便秘を引き起こす原因となります。
器質性便秘とは
器質性便秘は、消化器そのものに病気を伴うことによって起こる便秘です。
消化管の悪性疾患や、炎症などが見られる場合に起こりやすくなります。
参考サイト
ダイエットで便秘をしやすくなる理由とは?
ダイエット中に便秘になってしまうと、体重が減りにくくなることもあり、モチベーションの低下に繋がります。
また、お腹に不快感を感じたり、肌荒れを招いたりと、さまざまな悩みの種になることも…。
便秘はスムーズなダイエットを妨げてしまう原因の一つです。
便秘を招きやすいダイエットには、次のようなものが挙げられます。
単品ダイエット
単品ダイエットのように、極端に食事量を抑えてしまうダイエットは、便を作る材料が不足してしまいます。
便は、食品の栄養素を吸収した後に残るカスを材料として作られます。
極端に食事量を減らすことで、便が作り出せなくなり、お通じが滞りやすくなります。
断食ダイエットや、あまりにも食事量を抑えた「食べない」ダイエットでも、同じようなことがいえます。
偏食ダイエット
ダイエット食品ばかりだったり、野菜ばかりだったりと、栄養バランスが偏ったダイエット法もオススメではありません。
食物繊維には2種類あり、便のカサを増やす不溶性食物繊維と、腸内バランスを整える水溶性食物繊維をバランス良く摂ることが大切です。
野菜は同じものばかりではなく、いろいろな種類を摂るように心がけましょう。
脂質制限ダイエット
ダイエットに脂質は大敵と思っている方も多いとは思いますが、極端に制限しすぎてしまうのも問題です。
脂質には、腸内の便の排出をスムーズにする、潤滑剤のような効果があります。
だからと言って、やみくもに油を摂取するのもNGで、カロリーオーバーの原因となります。
良質の油を、量を守って摂取するというのが重要なポイントです。
薬ダイエット
下剤や便秘薬を乱用する習慣が付いてしまうと、腸が刺激に慣れてしまい、自然な排便が困難になります。
できるだけ自然な排便ができるように、食事や運動、ストレスなどの生活習慣を見直してみましょう。
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便秘の症状とは?
便秘の症状は、「便が出ない」だけではありません。
慢性的な便秘では、次のような症状が見られることがあります。
- 排便時の不快感
- 腹部膨満感
- 頻回便
- 頭痛
- 胃もたれ
- 胃痛
排便時に強くいきむ必要がある、残便感があるなど、不快感を感じる場合があります。
さらに、頭痛や胃腸症状など、排便時ではない時でもいろいろな症状が現れることもあります。
このように気になる症状があると、ストレスの原因となることも。
ダイエットに打ち込めない原因ともなるので、できるだけ便秘にならないように心がけていくことが大切です。
また、特に原因がはっきりしていなくても、下痢や便秘を繰り返す「過敏性大腸炎(IBS)」という病気から来るものや、大腸ガンが原因の便秘だったという場合もあります。
生活習慣を改善しても便秘が解消されない場合や、潜血を伴う場合には、自己判断せず、病院に相談してみましょう。
症状が重度であれば、ダイエットを中止することも必要です。
便秘はどうして太る?
それでは、そもそも便秘が起こるとどうしてダイエットに悪影響なのか、関係性を解説していきます。
便の量だけ体重が増える
健康的な日本人の平均的な1日の排泄量は約200gといわれています。
2〜3日排便がなければ、その分だけ体内の便重量が増え、もちろん体重も増えてしまいます。
便秘で運動不足
個人差はありますが、便秘になると、腹痛を感じたり、体調不良になったりと、安静を余儀なくされることもあります。
便秘を解消するためには、運動をして腸のぜん動運動を促してあげることも大切です。
動けなくなってしまうと、カロリー消費が抑えられ、便秘も悪化するという、悪循環に陥ってしまいます。
腸内環境の悪化
便秘になると、腸内細菌のバランスの乱れ、悪玉菌が増えてしまいます。
悪玉菌が多くなると、有害物質が吸収されやすくなり、肥満や生活習慣病になることもあります。
参考サイト
ダイエットと便秘に関しての口コミ
おはようございます
今朝の体重は45.0kgでした軽く便秘気味なので今日はちゃんとヨーグルトと野菜食べる
— ネクター(もも)@ダイエット垢 (@nectar_y) 2017年9月7日
便秘は生ゴミが体内にずっとあるのと同じだから病気になりやすい
っていうのが何か説得力あったから便秘解消のためにヤクルトバナナヨーグルトを頑張って食べてる(´~`●)モグモグ
— ゆで卵ちゃん@ダイエット記録 (@incect_09) 2017年9月1日
もう便秘どうにかしたい。。。今日で5日目… そりゃ体重増えるわ #便秘 #便秘解消したい
— るん@ダイエット (@run_2017) 2017年8月31日
ダイエット中に便秘で悩んでいる人は多く、皆さん色々な方法で、便秘解消を試みているようです。
便秘を防ぐ!ダイエット中の食事のポイント
ダイエットというと、どうしても食事量は減ってしまいがちです。
食事量が減ってしまうと、便を作る材料が確保できず、便秘になります。
ダイエット中でも便秘にならないようにするためには、次のようなポイントに気を付けてみましょう。
糖質制限をしすぎない
ダイエットというと、どうしても糖質を制限してしまいがちです。
なかには、ダイエット中は糖質を一切摂らないという人もいますよね。
しかし、極端な糖質制限は、筋肉を減らしてしまうので、リバウンドしやすく、あまりオススメとはいえません。
また、ご飯やパンなど、主食となる食品には、ぜん動運動を促進する食物繊維や、便を柔らかくする水分が多く含まれています。
便秘を改善するという観点から見ても、糖質は制限しすぎない方が良いでしょう。
また、糖質は脳や体を動かすエネルギーとなる、重要な栄養素でもあります。
糖質を抜くと疲れやすくなる、頭がボーっとするという症状が見られる場合もあります。
活力的に動けなければ、エネルギーの消費も抑えられてしまい、ダイエットがスムーズに進まなくなるかもしれません。
脂質を制限しすぎない
脂質は、1日の摂取エネルギーの約20〜30%を摂るのが目安(参照:厚生労働省 日本人の食事摂取基準)とされています。
脂質には、スムーズな排便をサポートする働きがあるので、制限しすぎるのも良くはありません。
しかし、脂質を構成している脂肪酸は細かく分けられ、種類によって性質が異なります。
良質の油を選び、ダイエットに役立てましょう。
生活習慣病のリスクを高める油
マーガリン、バター、ラード、肉の油、トランス脂肪酸(菓子パンや惣菜に使われている油)など
ダイエットを後押しする油
オリーブオイル、魚油、エゴマ油、亜麻仁油など
動物性の油(魚の油を除く)は、飽和脂肪酸が多く含まれており、コレステロールを増加させ、生活習慣病のリスクを高めます。
反対に植物性の油や魚の油は、コレステロールを低下させ、血液をサラサラにするので、代謝アップ効果からダイエットを後押ししてくれます。
しかし、魚油、エゴマ油、亜麻仁油は加熱に弱く酸化しやすい性質を持っています。
加熱料理にはオリーブオイルを用い、その他の油は料理の仕上げに使うなど、特徴に合わせて使い分けることが大切です。
また、油は大さじ1杯で約100kcalあります。
良質の油だからといっても使いすぎは肥満の原因となります。
適量を心がけながら上手にとり入れて、排便をサポートしていきましょう。
参考サイト
野菜・きのこ・海藻類をしっかりと摂る
野菜やきのこ、海藻類には食物繊維がたっぷり含まれています。
また、カロリーが低いので、ボリュームいっぱいの食事をしてもカロリーの摂りすぎの心配がありません。
ダイエット中でも安心して食べられ、便秘解消にも役立つ、ダイエットの強い味方です。
これらの食材を摂る時に気をつけたいのが、2種類の食物繊維です。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、それぞれ役割が違い、含まれている食品も異なります。
不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1が理想とされています。
不溶性食物繊維について
不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維です。
腸内で水分を吸収して、大腸を刺激し、ぜん動運動を促進します。
便のカサを増やしてくれるので、便量の確保にも有効的です。
便秘解消には効果的ですが、摂りすぎると便が硬くなり、排出されにくくなります。
多く含まれる食品
大豆・インゲン豆・小麦・ごぼう・切り干し大根・ブロッコリー・さつまいもなど
水溶性食物繊維について
水溶性食物繊維は、水に溶ける食物繊維です。
腸管内の水分を吸収して、便の水分量を保持し、柔らかくする働きがあります。また、腸内の老廃物や毒素を吸着し、体外に排出したり、腸内環境を整える働きもあります。
多く含まれる食品
バナナ・りんご・柑橘類・昆布・わかめ・しいたけ・えのきだけなど
不溶性食物繊維と水溶性食物繊の比率を、日頃の生活で厳格に守るのは難しいと考えられます。
いろいろな食品をとり入れられるように意識するだけでも、バランスが整いやすくなりますよ。
野菜・きのこ・海藻類の理想的な摂取量は、1日350gとされています。
1食分の目安量は、生の状態で両手一杯分、加熱した状態で片手一杯分です。
積極的な摂取を心がけましょう。
発酵食品を摂る
発酵食品には腸内環境を整える働きがあります。
腸内環境が活性化されると、消化活動が活発になり、便の排出がスムーズになります。
「腸は第2の脳」とも呼ばれるほど、大切な部位です。
腸には免疫細胞が多く存在しており、腸内環境が整うと免疫力が高まります。
ダイエットだけではなく、さまざまな病気の予防のためにも、腸の健康を保つことが大切です。
発酵食品は味噌や醤油、みりんなどの、家庭でよく使われる調味料から、納豆や漬物、キムチ、ヨーグルトまで、さまざまなものがあります。
お気に入りを見つけて、美腸作りのアイテムとして活用していきましょう。
水分をしっかり摂る
便秘解消のためには、食事はとても重要ですが、それと同時に水分の摂取にも気を付けなければなりません。
水分は、便を柔らかくして、スムーズな排便をサポートしてくれます。
起床後に冷たい水や牛乳を飲むと、胃や腸が刺激され、排便を促します。
朝にトイレタイムを習慣にして、リズムを付けていくと良いですね。
また、成人の1日の水分の摂取目安量は、1.5L程度とされています。
一度に吸収できる水分の量は限りがあるので、コップ1杯の水(150〜200ml)を6~8回に分けてこまめに摂取するようにしましょう。
起床時、スポーツをする前、入浴後、就寝前が水分補給のタイミングです。
喉が渇いたと感じた時には水分不足になっているとも言われています。
汗をかいた時や食事の時にも、忘れずに水分補給をしましょう。
参考サイト
食事以外の便秘解消のポイント
運動習慣をつける
運動は便秘解消に効果があり、ダイエットの観点からみても、エネルギー消費になります。運動が苦手な人も多いと思いますが、無理なくできることから始めていきましょう。
運動は、激しければ良いというわけではありません。
激しい運動を長時間続けることは難しいので、ゆっくりと負荷の軽い運動を20~30分かけて行うことが理想的です。
ウォーキングや軽めのストレッチなどの、酸素を取り入れながら行う有酸素運動がオススメです。
近所への散歩や、通勤の時に歩く距離を伸ばすなど、普段の生活の中での行動を意識するだけでも変わってきます。
また、便を押し出すためには腹筋も必要になります。
腹筋は腹部の血行を促し、胃腸の動きを活発にしてくれます。
便秘解消やダイエットのためには、有酸素運動だけではなく、筋トレもとり入れていきましょう。
マッサージ
便秘にはお腹のマッサージも効果があります。
食べたものが腸へ到達する食後3~5時間後に仰向けになり、おへそを中心に時計回りに「の」の字をかくように2~3周、力を抜いてゆっくりとお腹をマッサージします。ほどよい圧力をかけることで排便が促され、便の移動がスムーズに。
引用元:タケダ:自宅でできる便秘改善法
マッサージは冷えの改善にもなります。
体が冷えると、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の活動が鈍くなってしまい、便秘の原因となります。
お腹の周りだけではなく、全身をマッサージして血行を促してあげましょう。体を温めることで代謝が上がり、脂肪が燃えやすい体になります。
トイレタイムを逃さない
外出先や仕事中でも、便意を感じたらトイレに行くようにしましょう。
我慢する癖が付いてしまうと、機能が衰えてしまい、便意を感じなくなってしまいます。
また、朝にトイレタイムの時間を確保することも大切です。便意がなくてもトイレに行くようにしましょう。体が自然と慣れてきて、排便習慣が身に付きます。
起床後に水分をとることで、胃腸を刺激して排便を促すことができます。
便意を感じにくい人は是非お試しください。
ストレスを溜めない
ダイエット中は、ストレスを感じることが多いかもしれません。
ストレスは自律神経のバランスを乱し、便秘の原因となることもあります。
趣味を楽しんだり、スポーツをするなど、食事以外のことを考えられる時間を増やしましょう。
まとめ
便秘はダイエットを停滞させてしまうだけではなく、体調不良や肌荒れの原因にもなります。
食事や生活習慣のポイントを意識し、便秘のないスッキリした体で、ダイエットを後押ししていきましょう。