カロリーの定義と消費カロリー3要素の事実
更新日: 2018年11月06日
「ダイエットのためには、なるべくカロリーを控えた食事が好ましい」
この言葉、あなたも一度は聞いたことがあるでしょう。しかし、実際あなたの周りでカロリー計算している人はどのくらいいますか?
引き締まっている人は、全員カロリー計算していますか?
では、カロリーのカラクリについて紐解いていきましょう!
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食事のカロリーは全く考える必要はない!
いきなりですが、2つだけ質問します。
- カロリーって、何ですか?
- 1カロリーって、どのような定義ですか?
私が行っている栄養セミナー・カウンセリングでは、必ずこの質問をします。よくある返答をご紹介します。
《1.カロリーって、何ですか?》
・必要以上に取ると太るもの。
・熱量。体にあたえる力の元。パワーの源。
・食物や運動の熱量などを表現するエネルギー単位。
《2. 1カロリーって、どのような定義ですか?》
・よく聞くし、使う言葉なのに、ちんぷんかんぷんです。
・水分1gを何℃か上げるかとかだったような……
・身体を燃焼してくれるイメージです。
・1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量。
あなたのお考え、まとまりましたか?メモ紙に書いてみましょう!
カロリーの定義はクエスチョンマークの連続
では、「カロリーって、何?」ということから解説していきましょう。
上記にご紹介した返答の中にもありましたが、「カロリー=エネルギー量(熱量)の単位」です。
熱量:2つの異なった物体の間を、熱として移動するエネルギー量。
続いて、②の「1カロリーの定義って?」について。よく言われるのは、「1mlの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量」です。
引き締まったカラダを獲得するためには、そんなところに留まらず、一歩踏み込んで『標準カロリー』というものも把握しましょう。
◆標準カロリー:14.5℃の純水1mlを、15.5℃に1℃上昇させるのに必要な熱量(その気圧条件が1気圧)です。
この定義はもう、クエスチョンマークの連続です。私たちの体液は、そもそも純水ではありませんし(約0.9%の食塩水)、体温も14.5℃ではなく約36℃です。はたまた、暮らしている気圧条件も日々変わります。1気圧は1,013ヘクトパスカルですので、高気圧に覆われ雲一つない天候の時と近いです。天気は日々変わりますし、梅雨や季節の変わり目の天候不順の時期は、1気圧ではない時の方が多いです。この標準カロリーの定義は…無機質な実験室の中でのものなのです。
カロリーを知った現在…直感的にどう感じますか?カロリーを一つ一つ調べ上げて、食生活や運動をすることがダイエットに(健康増進に)直結するのでしょうか。地球上の人間以外の動物は、カロリーなんて微塵も気にかけておりません。
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カロリーは栄養価を評価する尺度ではありません。
カロリーは、標準カロリーの定義からもお分かりのように、「燃焼能力の尺度」です。したがって、そもそも人間の食べ物の「栄養価を評価する尺度」ではありません。
しかし、日本は私たちの食べるご飯・パン・肉・油などを、なぜか?!この燃焼能力の尺度「カロリー」で評価します。日本は「カロリー」というものを、私たちが「栄養素」として考えている糖質・タンパク質・脂質・ビタミンなどの栄養価を示しているかのような表記や扱いをしています。
カロリーは、「栄養価」を示す尺度ではありません。当然、カロリーの数字は私たちのカラダの栄養価の評価になりません。ある食品の示す「カロリー」という無意味な数値が、ぽっちゃり体型を始めとした生活習慣病を進行させることはない、と言っても過言ではありません。
あえて言うならば、「もしパンを燃やしたら、これくらいの燃焼能力があります」ということを示しているだけです。したがって、当たり前ですが、パンを食べてもその数値のカロリー分だけ、我々の体内で体温を維持するためにパンが活躍してくれるわけではありません。カロリーの数値は、あくまでも実験室内で、パンにマッチで火をつけた場合の水の温度上昇の燃焼能力を推測したものです。
もし科学的なアプローチで検証しようとすると、私たちのカラダの中を実験室と同じ条件(体温:14.5℃、体液:純水、気圧:1,013ヘクトパスカル)にしなければなりませんが、それはどう考えたって無理ですよね。そんな条件下で、実験なんてできるわけもないのです。カロリーは「燃焼能力の尺度」であって、食べ物の「栄養価を評価する尺度」ではないのです。
消費カロリーの3要素はどんぶり勘定
「太る・痩せるは、摂取カロリーと消費カロリーのシーソーで決まる」と、よく言われますが…「摂取カロリー」は、先ほどお伝えしましたように、実態のない尺度から算出した量です。本来は、この時点でシーソーが成り立ちません。また「消費カロリー」は、以下3つに分類されます。
- 安静時のエネルギー代謝(基礎代謝)
- 運動によるエネルギー代謝(活動代謝)
- 食事による代謝(食事誘発性熱産生:DIT)
では、順に見ていきましょう。
1.基礎代謝
まず、「基礎代謝」という定義を再確認しましょう。基礎代謝とは、心身ともに安静な状態の時に、生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量のことです。今や一般にも普及した体組成計で測定すると「1,100kcal」など、ポンと数字が出てきます。
日々測定している方はお気づきかもしれませんが、毎日そんなに変化がないように思える基礎代謝は、1日の中で… そして毎日毎日… ダイナミックに変動しています!
ほぼ同じような生活スタイルの2日の朝晩の体重増減を、比べたことがありますか?例えば…火曜日と木曜日、もしくは第1週目の水曜日と第2週目の水曜日etc.
生活スタイル(仕事・食事・運動etc.)が変わらないから、体重の増減も変わらないのでしょうか…もし比較したことがない方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度試してみてください。
- 同じ時間に起きる
- 同じものを食べる
- 排便回数を合わせる
- 仕事時間をほぼ同じにする
- 運動量を同じにする
- 入浴時間を合わせる
朝晩でピタリと一致する確率は極めて低いです。ということは、日々変動しているということになります。
基礎代謝が変動する要因としては、「ストレス」「睡眠不足(質)」「食べ過ぎ」「栄養不足」「過度な運動」「運動不足」「疲労の蓄積度」などが考えられます。
体組成計は、統計的分布に基づいて体重における水分量から推測しているにすぎません。アバウトであることは明白です。この項目においても、シーソーが成り立ちません。
ダイエットのためにも重要なファクター「基礎代謝」、それをアップさせる方法については、様々な本やサイトで見ることができます。しかし、そのほとんどのものが構成比率で38%を占め、トップである「筋肉」にアプローチして基礎代謝を上げよう、と謳っています。それ(筋肉)以外の62%の方が重要なのは明白です。
2.運動によるエネルギー代謝(活動代謝)
これはもう身近ですよね。掃除機がけ10分間で約●●kcalとか、ウォーキング30分間で約●●kcalとか… ここでも、「活動代謝」の定義から再確認していきましょう。
活動代謝とは、お仕事や運動において消費されるエネルギーです。活動代謝量は、カラダを活発に動かすほどその量が増加します。
「脂肪を燃やすには、活動代謝を上げよう」と、よく耳にしますが…あなたなりには頑張ったつもりでも、もしかしたら消費量自体は上がっていないかもしれないですし、逆に頑張っていないつもりでも、上がっているかもしれないです。正確には、誰もわかりません。神様でも、正確にはわかりません。
「えぇ?! ジムのエアロバイクに消費量が出ますけど」って…あれも、呼吸・座席の高さ・こぐ姿勢・ペダルへの足の置き方などで大きく変わってきます。数値はあくまでも目安でアバウトと言えます。この項目においても、シーソーが成り立たないのは明白ですね。
3.食事による代謝(食事誘発性熱産生:DIT)
あまり聞き慣れない単語ですね。定義を見てみましょう。
食事誘発性熱産生とは、食事をした後、安静にしていても代謝量が活発になることです。
食事をすると、食べ物を噛み砕いて飲み込み、消化・吸収するといった活動が活発になることで、体熱が産み出されエネルギー消費量が増えます。この現象は、食後まもなくから起こり、1時間後に最高となった後、徐々に減ります(3~10時間ほど続く)。DITとして消費されるエネルギーは、栄養素によって違い、
・たんぱく質:約30%
・炭水化物:約6%
・脂質:約4%
・総合的:摂取カロリーの約10%
とされています。全てに「約」が付いています。この項目においても、シーソーが成り立ちませんね。
まとめ
これまでのことをまとめてみます。
- カロリーの定義
- 基礎代謝量
- 活動代謝量
- 食事誘発性熱産生(DIT)
これら全て、実体のない尺度から算出し、更にアバウトなどんぶり勘定によるものです。以上のことから、上記のシーソーは…結果論です!
もし、あなたがある一定期間でやせたとしたら、その期間中「摂取カロリーよりも消費カロリーの方が多かった」ということです。また、ある一定期間で太ったとしたら、その期間中「摂取カロリーよりも消費カロリーの方が少なかった」というだけのことで、結果論でしかありません。
カロリーは、ダイエットなどボディメイクをしている最中に、日々追っていくべきものではないのです(というか、正確に追えるはずもありません)。ゆえに、ダイエットのためにはまずはカロリーを無視した方が良いのです。