貧血とダイエットの関係まとめ ~ 貧血を予防・改善する方法は2つ
更新日: 2018年11月03日
過剰なダイエットが、ふらつき、疲れやすいなど、日常生活に支障をきたす「貧血」の原因となることがあります。
また、せっかくダイエットを頑張っていても、貧血になってしまっているとダイエットの効果は得られません。
そこで今回は、貧血とダイエットの関係について正しく知るとともに、貧血を予防・改善して、ダイエットを成功に導く方法をお伝えしていきます!
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貧血とは、その症状は?
貧血とは簡単にいうと、体内の血液量が少なくなった状態をいいます。
赤血球の中に含まれるヘモグロビンは、鉄とタンパク質とで構成されています。このヘモグロビンが全身に酸素を運び、また排出された二酸化炭素を肺まで運ぶ働きをしています。
しかし、体内の血液量が減ってしまうと、赤血球とともにヘモグロビンの量も減少し、体内の酸素が不足します。このことから、全身に酸素が行きわたらず、結果としてめまいや頭痛などの貧血症状を引き起こします。
これが、貧血が生じるメカニズムです。
貧血の症状としては、頭痛や肩こり、耳鳴りやふらつき、疲れやすいなどがあります。
よく、貧血というと「立ちくらみ」をイメージされる方も多いですが、立ちくらみは脳貧血と呼ばれるものです。
脳貧血は、一時的に血圧が下がり、脳に血液が届かなくなることから脳が酸欠状態を起こすというもので、貧血とは全く別のものです。
貧血の症状には、日常生活の疲れがたまっているだけと勘違いするものが多く、自身が貧血になっていることには気が付きにくいです。
また、貧血は急激に起こるものではなく、赤血球の量がだんだんと減っていくことから、徐々に進行しはじめます。
そのため、気が付いた時には重度の貧血状態に陥ってしまっている可能性があります。貧血気味かもと思ったら、お医者さんに相談に行ったり、下記で紹介するような鉄分摂取の方法を心がけてみたりすることをおすすめします。
貧血の原因は?
貧血を引き起こす大きな原因は、栄養不足です。特に、「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる、鉄分不足による貧血が最も多いとされています。
上記で貧血のメカニズムを紹介したとおり、鉄分が不足すると、酸素・二酸化炭素を体内に運搬しているヘモグロビンの量も減ることから、全身に酸素を届けることができなくなってしまいます。そしてこの酸素不足が、めまいやふらつきなどの貧血の症状を引き起こす原因となり、「鉄欠乏性貧血」が生じます。
特に女性は、毎月月経で血を失うことから貧血になりやすくなっています。初経から閉経までのうち約20%もの女性が、鉄欠乏性貧血状態にあるといわれています。
さらに貧血の原因には、鉄欠乏性貧血のほかにも、先天性の貧血や、肝臓病などの病気が原因となるものなど、さまざまなものがあります。
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せっかくのダイエットが貧血の原因となっている
せっかくダイエットに成功してキレイなボディを手に入れても、健康を損ねてしまったのでは意味がありません。間違ったダイエットを続けてしまうと、貧血を引き起こす原因になります。
そのため、ダイエットと貧血の関係について正しく理解して、ダイエットによる貧血を防ぎましょう。
ダイエットによる鉄分不足が貧血を引き起こす
そもそもダイエットが貧血を引き起こす原因は、ダイエットのための食事制限による鉄分不足と、鉄分の吸収悪化にあります。
まず、鉄分不足についてみていきましょう。
1日に必要な鉄分は、成人男性で7mg程度、成人女性で11mg程度とされています。女性は生理の出血で鉄分が不足することから、男性よりも鉄分の必要性が高くなっています。
鉄分は非常に体内へ吸収されにくく、鉄分を含む食材からは、たった10分の1程度しか体内に吸収されません。
たとえば、マグロを例に挙げてみます。
マグロ100g中には鉄分が2.0mg程度含まれていますが、そのうち体内に吸収されるのは、わずか0.2mg程度しかないのです。
そのため、成人男性が1日に必要な鉄分量を摂取するためには、マグロを3500gほど食べなければならないことになります。不可能な数字です。このことから、ただでさえ普段から鉄分が不足しがちであることがわかります。
それにもかかわらず、ダイエットのための食事制限により食べる量を減らすことで鉄分の吸収量がさらに少なくなり、貧血を起こす原因になるのです。
特にレバーや赤身のお肉には鉄分が多く含まれていますが、ダイエット中のためにお肉を避けている場合などは鉄分も摂取できなくなるため、貧血を引き起こしやすくなります。
糖質制限も貧血の原因になる
ダイエットが貧血を引き起こす原因となるのは、鉄分の欠乏だけが理由ではありません。
糖質制限によるヘモグロビンの減少も、貧血を引き起こす原因となります。
糖質とは、お米などの主食に多く含まれる栄養素で、体が活動するためのエネルギー源になっています。
そのため、糖質の摂取量が減ると、エネルギー源も減ってしまいます。
そこで、体は糖質の代わりにたんぱく質をエネルギーとして利用しようとするのですが、このたんぱく質は血液を作るためのものです。
したがって、血液になるたんぱく質が減ってしまい、血液量も減ってしまうことから、結果として貧血の原因になるのです。
食事量の制限や糖質制限などのダイエットは貧血を引き起こすおそれが強いので、十分注意して行う必要があります。
貧血になると、痩せにくい体になってしまう
ダイエットは貧血の原因となるばかりか、痩せにくくなる原因にもなります。
貧血は、酸素を全身に届けているヘモグロビンの量が減少することによって起こります。そして、脂肪は体内の酸素と結びついて燃焼されます。このことから、ヘモグロビンの量が減少すると、体内の酸素量も減少するため基礎代謝が低下し、エネルギー消費効率が悪い体になります。
その結果、脂肪の燃焼がなされず、結果として脂肪が体に蓄積されて、痩せない体になってしまいます。
また、基礎代謝の低下により冷え性体質になり、結果としてむくみなどに悩まされる原因にもなります。
それだけではありません。脂肪を分解する働きをもつ「リパーゼ」という酵素は、体内の酸素が少ないと働きが鈍くなります。したがって、体内の酸素量が少ない貧血状態ではリパーゼが十分に働かず、脂肪の分解がなされにくいことから、ダイエットをしても効果が出にくくなります。
以上のように、ダイエットのための食事制限が、ダイエット失敗の原因になるという悪循環を生じさせているのです。
ダイエット中の貧血を防ぐ方法は?
せっかくダイエットをしているのに、健康を損ねたら逆効果です。また、鉄分不足による貧血は、ダイエット失敗の原因となります。そのため、ダイエット中の貧血をしっかりと予防することが大切です。
そこで、ここではダイエット中の貧血を予防するための方法をお伝えしていきます。
ヘム鉄を多く含む食材を食べよう!
貧血の大きな原因は鉄分不足です。そこで、貧血を予防するためには、鉄分を多く含む食材を摂取することが効果的です。
食べ物に含まれる鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
前者のヘム鉄は、肉や魚などの動物性食品に多く含まれ、後者の非ヘム鉄は、野菜や穀類などに多く含まれます。
そして、同じ鉄分であっても、非ヘム鉄に比べてヘム鉄の方が体内に吸収されやすいのです。非ヘム鉄の体内への吸収率が役5%程度しかないのに対し、ヘム鉄は約20%の吸収率といわれており、ヘム鉄の方が非ヘム鉄よりも4倍程度高い吸収率であることが明らかになっています。
これは、ヘム鉄が「ポルフィリン環」というバリアに守られているため、食物繊維やカフェインなどによる吸収妨害を受けにくいことが理由です。
ヘム鉄を多く含む食品には肉や魚などがありますが、豚のレバーや鮎の内臓など、やはり臓器系に多く含まれています。 これは、肝臓の一部で血液を作っていたり、内臓が血液循環を担っていたりするために、内臓系に血が多く含まれることから、鉄分も多く含まれる傾向にあるためです。
しかし、レバーなどが苦手な方も多いのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのは、牛肉の赤身部分です。
牛肉は鶏肉や豚肉に比べて鉄分の含有量が多いといわれています。加工や調理も容易で味のクセもないので、食べやすい食材です。また、クエン酸やお酢には胃酸を分泌させ、鉄の吸収を高める効果があるといわれています。
ですので、お酢やクエン酸を含む、梅やレモンなどと一緒に鉄を多く含む食品を食べることが効果的です。
焼肉などを食べる時には、レモンを絞ってかけるようにすると、お肉の臭みもとれると同時に、鉄の吸収率もあがることからおすすめです。
コーヒーと紅茶は適量にしよう!
コーヒーや紅茶には「タンニン」という物質が含まれます。これが渋みの元となっており、コーヒーや紅茶をおいしくする要素となっているのですが、他方で鉄の吸収を阻害する作用もあります。
ですので、せっかく食事を摂取しても鉄分を体内に取り込むことができず、貧血の予防・改善にはつながりません。食事と一緒に飲むのは避けましょう。
食事の前後1時間はコーヒー、紅茶を飲まないようにするとより効果的です。
また、近年話題の「デカフェ」(カフェインレス)ですが、これはその名のとおりカフェインを含まないという意味です。
タンニンとカフェインは別物ですので、デカフェであってもタンニンを含んでいる場合がほとんどです。摂取する際には気を付けましょう。
まとめ
ダイエットの食事制限は、鉄分や血液不足を引き起こし、貧血の原因になります。また、貧血による酸素の減少により脂肪燃焼がされにくく、ダイエット失敗の原因にもなっていました。
貧血を予防・改善して健康的な体を手に入れるため、またしっかりとダイエットを成功させるためにも、次の2つのことがカギとなります。
- ヘム鉄を含む食材を多く摂取する
- タンニンを避ける
貧血に気を付けて、体の中から健康で美しくなると同時に、しっかりとダイエットも成功させましょう!